8月のある日、フランス人のほとんどがバカンスに出払っている頃、オフィスの電話が鳴りました。パリ市が主導して、年末イルミネーションをアート化するので、デザイナーとして参加して欲しいという依頼だったのです。独立したばかりの新人照明デザイナーに、夏鳥の白羽の矢が飛んできたような気分になりました。
高級住宅地16区のヴィクトル・ユゴー広場を担当することになり、クリスマス・デコレーションの起源を辿り、それぞれの場所の都市計画上の位置づけや歴史、建造物のモチーフなどを丹念に調べ、個別のコンセプトを提案。設置中は、毎日現場に出向いて、極寒の中続く作業を激励し、想いを形にするプロセスを達成しました。
次の年にもこのイベントが再び行われ、ヴィクトル・ユゴー広場の再演に加えて、高級ブティック街、モンテーニュ通りとヴィアデュック・デ・ザール(廃線となった国鉄近郊鉄道の高架橋を利用した施設)の照明も任されました。大きな成功を得たこのイルミネーションは、翌年も開催され、2008年には、さらにセクレタン通りのデザインも手がけました。
クライアント
: パリ市、パリ・イルミヌ・パリ実行委員会
期間
: 2005-2008