錯覚の原理を駆使して特殊な効果を狙ったオプ・アートの代表格であるイギリス人アーティストの個展で、照明を担当することとなり、極力ニュートラルな照明を心がける技術者に徹し、独特な作風の視覚効果を引き立てることに専念しました。余りに忠実にエンジニアに徹し、素描の展示室を規定通りの低照度に抑えていたら、アーティスト本人から暗いとクレームが来てしまい、美術館側は作品の保存のために決められた照度を遵守する姿勢を取りましたが、作者であり作品の持ち主であるライリー氏が「これは私のものだから私が決める」の一言で、照度がアップすることになりました。美術館照明に於ける基準と、アートを魅せるための理想的な光との間にある齟齬を感じる経験でした。
クライアント
: パリ ミュゼ
プロジェクトチーム
: ニコラ・ユゴン
期間
: 2008